デザインの宝庫!アイデアとオリジナリティ溢れる能装束

〜オリジナルスタイリングとコンセプチュアルなテキスタイルで魅せる〜

 

 

TFLのダイバーシティメソッドによる、日本伝統美研究・宝生流能ゼミ2回目が開催されました。

 

今回は、シテ方宝生流・辰巳和磨氏による『能装束の着付け体験』。
能装束から、デザインの意味・着付けの意図を読み解きます。

 

能の衣装は何十年何百年も保管され、大切に代々引き継がれています。
中には人間国宝でないと着用できない装束もあるほど貴重なもの。
衣装の一つ一つには全て意味があり、また更にその素材のデザインにもテーマ性を持ち合わせていると言う、非常に奥深くコンセプチュアルなものでした。

 

カツラも様々な種類があり、亡霊役には黒頭と言うドレッドヘアのようなスタイルのカツラを。

こちらの黒頭の素材はなんと高級素材である、ヤクの毛が使用されているのです!!

 

歌舞伎のカツラでは化学繊維が使用されているそうですが、能ではこのように前髪を少しふわっと立ち上げつつ前に垂らすヘアスタイルのため、化繊だとヘタれてしまい立ち上がらないとのこと。

なるほど。。表現することに細部まで気を使われています。

 

 

若い女性役には、なんと人毛のストレート。(ちなみに約25年モノだそうです)

『人毛だと毎回シャンプーとか洗うのですか?』

と言う受講生からの質問に、

『椿油でツヤを出し保存をしています。』

とのこと。

 

こちらの法被には2WAYの着こなしをするというアイデアが。

ちなみに上記は法被をスタイリングし、戦いの際の表現をしている姿です。(平清盛の亡霊役)

ハリのある素材ですが、さらに立つように新聞紙などを入れ袖を中に入れ込み、戦の際の表現をしています。

また、別の衣装になりますが、こちらは弓を入れるようこのように袖で筒を作るなど、スタイリングにも工夫がなされていました。

 

 

鬼。やはり強烈なインパクトがありますね。

しかし、これは全て女性がなる姿、否、女性しかならない姿なのです!

気品高く知恵のある女性しか、なれないこの姿。

(知恵がツノになったとのこと)

今でも、結婚式で和装の際に『角隠し』がありますね。

辰巳さん曰く、

『女性に対する畏怖の意味でしょうか。』

とのコメントも。

 

 

能装束はデザインアイデアの宝庫!!

 

 

今回は実際に能装束を受講生へ着せ付けていただきました!!

何百年も前もの衣装に袖を通せるとは、なんて贅沢な体験なのでしょう。

 

 

カツラをセットしていただき、能オリジナルのスタイリングで着こなします。

着付けはまるでドレーピング。

形をとり、立体的に仕上げていきます。

   

 

このように襟の部分は大きく開き、裏地の色を見せてその女性の年齢を表現しているのです。

(紅色が入ると30歳までの若い女性ということになります。紅無(イロナシ)は逆に年配の女性。)

ただし1名だけ例外があり、小野小町だけは100歳でも紅入りを着用する唯一の存在とのこと。(!!)

 

最終的な形を決めるにはやはり、糸で点留めを行うとのこと。

なんと、この糸でさえも演者の方が作られているのだそう!

2本どりで糸を拠ったものを作り、それから縫い付けます。

着物のように厚みがあったり、能を演じる上での動きに耐えられるように強度を上げているのですね。

着付けでさえも手間がかかっています。

 

 

さぁ!いよいよ、お面を装着する時がやってきました!!

お面を付ける際は、必ずお面にお礼をするのが決まりでありました。

これも神様役を人間が演じる、というようなところからきているのでしょうか。

お礼を済ませてから装着させていただきます。

 

 

若くて美しい女性の完成です!!!

 

 

本来であれば上記のように、この着物の下にぴっちりと更に着物を着ています。
とても独特なコーディネイト。能オリジナルのスタイリングです。

 

和装ですが和装らしくなく、色の使い方やバランス、ディテールからデザインのアイデアを存分に得られますね。
このように、伝統や文化から、まだまだたくさんのヒントを得ることが可能です。

 

 

 

最後は受講生の皆さんも着物の重さや生地感を確かめるべく、羽織らせていただきました。
もちろん、お面も。

 

 

 

角度によって、表情が変化するので本当に不思議です。

 

 

今回は、人生の中で滅多に体験できない・お目にかかれない貴重な経験を存分にさせていただくことができました。
どうもありがとうございました!!