ファッショントレンドはローカルトレンドに回帰している

日本を代表するファッションコンサルタントの小島健輔氏をAI研究室の名誉客員教授としてお迎えしメンタリングしていただきました。

ファッションビジネスは時代の社会構造やライフスタイル、社会的価値観と消費者心理、技術革新や法律・制度、生産や流通の環境変化と売上や在庫などの数字との関係性を見抜くことができないと継続的な成果は得られない。

小島先生は38年にも渡って、この数字と感性の両面から分析され、データ蓄積をされている唯一無二のファッションビジネス/流通コンサルタントです。

今回は、日本ファッションビジネスの俯瞰的な潮流とトレンド分析手法をAI研究室のメンバーに指導いただきました。

参加メンバーから大絶賛の2時間のレクチャーのほんの一部を紹介します。

 

■ファッショントレンドはローカルトレンドに回帰している。もはやナショナルトレンド、グローバルトレンドはダウントレンド。

原宿エリアでも表参道、明治通り、竹下通り、キャットストリート、スニーカー通りでトレンドが全く違う。今の最先端はパリでもロンドンでもNYでもなくソウルとトーキョーで、トーキョーの最先端は原宿スニーカー通りだ。そこを闊歩するのは韓国や台湾、中国の若いトレンドリーダーたちで、金のない日本の若者たちは少数派だ。

世界中でトレンドはローカルな感性に分岐している。

日本のローカルトレンドを38年間(76シーズン)追い続けている「客層別スタイリングボード」を見て貰えば、その傾向を明確に捉えることができる。このボードはレディス版とメンズ版があって、上下に世代、左右にグローバルモード〜ナショナル〜ローカルストリートと配してテイスト別に国内各客層の代表的スタイリングを網羅。各客層ごとに対応するブランドを位置付けて毎月の売上前年比を追っていけば、どの客層が拡大・縮小しているか、どちらの方向に動いているかが天気図のように掴める。

 

■アスレジャーがカジュアルを変える

米国でも日本でも、ドームスタイル(学生寮=ドームでリラックスしたスタイル)にスポーツアイテムやアウトドアアイテムにリミックスして何処にでも出かけてしまうアスレジャーが蔓延し、半世紀以上続いたアメカジベースのカジュアルが崩壊。単価も下がりTPOレスになってファッション業界を追い詰めている。

ユニクロは陳腐化したアメカジベースのカジュアルを高品質で安く提供しているだけでアスレカジュアルの奔流に取り残され、全く鮮度がない。商品戦略を根底から変えないと時代の流れに取り残されてしまうかも。

 

■ファッショントレンドは3層構造で動いている

①:数週間から1・2年の周期

プリント柄や織り柄などの表面的マテリアルやデザインディティール。チェックが流行ると解っていても、細かいチェックか大きなチェックか単彩使いか多色使いか決め込めないと外してしまう。

②:3〜6年の周期

トレンドから発生したパワーアイテムがディティールやシルエットを修正しながら数年続いたり、一旦消えて再復活したりしながら「定番」になっていく。売上の中核になるのはコレだよね。

③:6〜10年の周期

フィットやウエアリングと言われる底流のトレンド。メンズから発した「ノームコア」が「抜け」に発展してレディスに波及し、エフォートレスやオーバーサイジングまで行ったよね。それ以前よりサイズ感が一つ二つ大きくなって、リユース店では大きいサイズばかりが売れて小さいサイズが残る。「スポーツミックス」や「アスレジャー」もウエアリングのロングトレンドだ。

 

■オンワードのZOZO離れはビジネストレンドから予測できた

オンワードHDの社長交代とともに会社の営業戦略・事業構造が大きくシフトした。

2018年春から始まった戦略パラダイム転換は支店軸からEC軸へのロジスティクス戦略シフトが骨子だ。自社運営ECを核に「店舗在庫とEC在庫を一元運用」する戦略の中で、手数料率が高くクーポン値引きが常態化したZOZOでの販売を取りやめることになったことは必然。自社運営EC比率が75%(オンワード本体は85%)にも達しているのでZOZOを離れても大きな影響はない。自社EC比率の高い大手アパレルは同調するのではないか。

これは1990年代に伊勢丹から端を発した百貨店の売上歩率アップ(92〜98年で13ポイント)がもたらした百貨店離れと同じ。歴史は繰り返す。割高になったプラットフォームは顧客も取引先もいずれ見放すよね。

■最先端の企業がある日突然、時代遅れになる(=リープフロッグ革命)

システムは大きな投資と長期間の償却を必要とし次の進化を妨げるから、早まって導入してしまうと新たな技術革新に取り残されてしまうことがある。そのため時代の最先端を行く企業とて、早まった技術に固執して外してしまうと時代に取り残される。現状のファッションテック 先端企業だから未来永劫先端企業であり続けられる保証などない。

 

※リープフロッグ(英語: Leapfrog)

日本語にすると跳び蛙または蛙跳びとなる。転じて、技術などが段階を飛び越えて一気に進展する変化の形態。(Wikipedia参照)

 

小島先生が40年近く蓄積して分析してきたトレンド分析をAIに置き換えられないか?

そしてファッショントレンドの未来を予測できないか?

ファッションデザインをAIでできないか?

 

TFLのAI研究室メンバーと小島先生のセッションは次回にも続きます。

 

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